交通事故における過失割合の修正要素とは、基準となる過失割合をもとにして、それを調整する為の[加算要素]や[減算要素]の事です。
典型的な過失割合の決め方
過失割合の基本は、あくまで典型的な交通事故の類型を前提としたものです。(判例タイムズ等を利用して類型を算出)
その為、実際の事故では、「被害者の年齢」「事故が発生した時刻」「道路状況」「道路の見通し及び付近の状況」など個別の事故状況を考慮し、基本割合に5%~20%程度の修正を加えて、最終的な過失割合を算定することになります。
次に、実際の「加算要素」と「減算要素」について、簡単に説明させて頂きます。
加算要素について
加算要素(歩行者側):夜間、幹線道路、横断禁止場所、ふらつき等
- 夜間では、見通しの悪さなどから、車の方からは歩行者を発見しにくいのが通常です。しかし、車は普通ヘッドライトを点灯しながら走行しているので、歩行者の方からは、早くから車の存在に気付くことが可能になります。この為、夜間の交通事故では、歩行者に5%の過失割合が加算されることになります。尚、車がヘッドライトを点灯していない場合には、逆に減算要素となります。
- 幹線道路が事故の発生場所である場合には、車の通行が多い為、歩行者としては通行や横断をする時に特に注意が必要です。従って、幹線道路で発生した事故の場合、歩行者の過失割合が加算されます。具体的には、横断歩道上の事故は5%、横断歩道外の事故は10%がそれぞれに加算されることになります。
- 歩行者が禁止されている行為である、車両通行の直前・直後を横断した場合も、歩行者にとっての加算要素となります。
減算要素について
- 脇見運転など前方不注意が著しい場合
- 酒気帯び運転
- 時速15キロ以上30キロ未満の速度違反
- 著しいハンドルまたはブレーキの操作ミス
「重過失」とは「著しい過失」より程度の重いような場合です。
- 居眠り運転
- 無免許運転
- 酒酔い運転
- 時速30キロ以上の速度違反
- 嫌がらせ運転など故意に準ずる運転
以上、いくつか代表的な修正要素について説明しましたが、必ずしもこの通り機械的に適用されるわけではありません。
例えば、夜間という修正要素を検討した場合、深夜でも街灯などが十分に明るい場合はどうなるのか。また、日没直後でまだ十分明るかったような場合はどうなるのかなど、夜間だけでも様々な解釈があるようです。
従って、過失割合の修正要素の有無を判断する場合には、その定義や趣旨を踏まえた検討が必要になることも多く、専門家である弁護士の先生方の協力なしでは適切な解決が難しいものが多々あります。
泉の杜整骨院では、交通事故対応に詳しい弁護士の先生方と常に連携を取っておりますので、事故後の対応など不明な点は、迷わずお気軽にご相談下さい。